苺ギャラリーとは、PRAHA2+deep Sapporoという札幌の住宅地にある空き家をリノベーションし、2007年6月に作られた美術の実験や制作を行う場に入居しているDr.ツクールをオーナーとするギャラリーです。
このギャラリーは、Dr.ツクールのツクルームとレンタルスペースいろへやの間に与えられた細長い隙間であり、1.5畳ほどの広さにちなんで苺ギャラリーと命名された。

このような条件からギャラリーの方向性について次のような検討が行われた。
・ルームとへやの間、隙間だということ。
・ギャラリーとして使う。
・人を集める。

地方都市の住宅地において美術の実験や制作を行う場なんていうのは、地域に溶け込むのは未だ困難であり、そのような場が結果閉鎖的(に見える)になりがちだというのは地方のアーティスト達のよくある悩みだと思われる。ならば、閉鎖的であるのにも関わらず、その場がどこかへと繋がっているような通路を作ればいいという提案が行われた。
また、ギャラリーは、通路・回廊などの意味も持ち、作品展示しつつ通路として使うことに決定する。
展示方法の検討も行われた。
ドアを開けて、奥の壁と対面したように立った時の右側と左側、つまり側面は自由に展示してよい。床および天井も可。
奥の壁は、150?の高さに消失点を作り、床のタイル目地と奥の壁のぶつかる点から消失点に向けた線を利用して通路が延長しているかのような仕掛けを薄く示す。
消失点を中心に無造作に作品一つだけ貼り付けてもらう。
奥の壁に作品を複数設置する場合は、それぞれの作品への通路の延長ラインを複数作ること。

当初は単なるレンタルスペースとして使う予定だったのだが、魅力的なスペースにも関わらず、このような狭い場所は札幌ではどうやら受け入れられないらしく、オーナーによると問い合わせもないとのだったので、いかにして人を集めるかの検討も行うことになった。
・隣りにいろへやというレンタルスペースがあるので差別化する必要がある。
・格安公募展、ワークショップ等を行う。
・オーナーのDr.ツクール的テイストを保つ。

定期的に苺を作るワークショップと公募展を行うことにする。

苺ワークショップ
参加者が紙で苺を作り、ギャラリー側面に貼り付け、日付・名前・時間を表記する。
消失点には無造作に紙がテープか画鋲で貼られており、9Jに来るスペシャルゲストに何らかの絵なり文字なりを書いてもらう。

側面の複数の苺・時・名前に対して、奥に貼られた紙はどの時にも属さずそれだけがこの通路から抜け出したのように浮きあがる。この通路をギャラリーに変えているのは実はこの無造作に貼り付けた紙であり、スペシャルゲスト、おそらくは東京からのアートシーンに関わる者達、彼らの意志によってギャラリーが仕切られているけれども、それが他のやり方への抜け出しにもなっているという通路がそこに開通することになるだろう。

企画・提案  サクライ (mano de)
企画・オーナー Dr.ツクール
苺ギャラリー全体
苺ワークショップ初日
奥の壁の150?の高さに消失点を作り、床のタイル目地と奥の壁のぶつかる点から消失点に向けた線を利用して通路が延長しているかのような仕掛けを薄く示す。

苺ギャラリーオープン企画 苺ワークショップ

苺を用意された紙とテープと道具で作ってください。
摘み取れる苺にしてください。
その苺を苺ギャラリーのドアを開けて、右側か左側の壁にテープで貼り付け、日付・時間・名前を表記してください。

参加費はオープン記念価格で1+5=6円です。

実は条件を一度変更しています。

「苺を用意された紙とテープと道具で作ってください。
その苺を苺ギャラリーのドアを開けて、右側か左側の壁にテープで貼り付け、日付・時間・名前を表記してください。

参加費はオープン記念価格で1+5=6円です。」

「苺を用意された紙とテープと道具で作ってください。
摘み取れる苺にしてください。
その苺を苺ギャラリーのドアを開けて、右側か左側の壁にテープで貼り付け、日付・時間・名前を表記してください。

参加費はオープン記念価格で1+5=6円です。」


何故かというと、主に平面作家の人達、彼らは優秀だけれども、が平面的に苺を作り、壁にピタっと貼り付けることが相次いだから。自分達は、苺を無造作に壁に貼り付ける、そのルールすら作っててほしかった。平面的苺が増えるとそのチャンスがなくなるという恐れがすごくあったので。

苺ワークショップの様子
苺の素材

赤い画用紙
・表面加工してないもの。
・表面加工してあるもの。
―紙に無造作に穴を空け、その紙をよく揉んだもの。
緑の画用紙
・明るい緑と暗い緑。
鉛筆
セロテープ

素材が置いてあるので、参加者は勝手に来てそこで苺を作る。


作った苺を壁に貼り付け、日付・時間・名前を書く。
完成
テープの粘着力が耐えきれずやがて落ちる。
壁に日付・時間・名前だけが残る。
ワークショップ終了。

今回試みたことは2つ。
ギャラリーを作る。
ものづくりのテクニック向上。

ギャラリーを作る。

別に札幌に限ったことではないけれども、美術館ではない所に作品を置くことが近年流行ってる。どこでもアートはできる!みたいな感じで。でもアートに興味ない人からすると、現代美術なんてゴミぐらいにしか思ってない。ま、実質ほとんどゴミなんだけれども。で、そのゴミを、例えば街中あちこちに展示して、野外展覧会だなんて言っても、アート好きの人にはそう見えるのかもしれないけど、興味のない人にとっては何も見えない。何故なら、そこが今だけでも現われた展覧会場だって示しも、仕掛けもないから。街中に作品を置くというのは、街中に作品を置くってこと以上なにものでもない。そこには展覧会場も美術館もない。ゴミが分散しているだけ。でもゴミはその収集のシステム、分類、収集日、ポイ捨て禁止、リサイクル、都市において動物の死骸は保険所があっと言う間に片付けに来ることも含めて、知らずのうちに不可視のシステムによって管理されている。ゴミを集めて展覧会をやるのには、このような不可視の管理システムがせめて必要だと思う。
街中の作品をゴミ収集システムで管理するのか、展覧会というシステムでそのつど管理するのか、組み合わせは自由。
なんにしろまずゴミだらけだってことからだ。

ものづくりのテクニック向上。

粗末な素材を用意して条件を同じにしたのには理由がある。
こうすることでいろんな人の、あるいは苺の数だけものを作るルールがあるんだってことがハッキリするから。
作業場所も用意せず、粗末な材料、セロテープでベタベタ止めることで、テクニックが明らかになる。オリジナリティなんて、このようにそのつど組み合わせるところに生まれる。
自分のやり方と違うやり方がある。んじゃ次はこんなふうに作るよ。って言うように。
ホントいろんなやり方があるんだなと企画者の予想以上だった。
札幌のアートシーン?に必要なことのいくつかは、いろいろやってみることと、もっといろんな人のいろんなやり方を見ることができるようになること。
ものづくりのワークショップとしては大成功だったと思う。またやります。
次は、価値形成のプログラム、東京を追いかける必要がないと言うのなら、独自の価値形成をするプログラムが必要だと思う。でもそれ誰もやってないでしょ。
そういう基本的な組み立てからやる必要があるし、そういうことがやりやすい条件が札幌にはまだある。
たった1.5畳の小さな、不便な場所にあるギャラリーでもいろんなことできる。
みんないろいろやってみればいいのに。

ただし、今回の成功はツクールくんの人望によるところも大きいです。自分は人望ないのでこんなに人を楽々短期間で集めることはできなかったと思う。企画は面白いこと次々思い付けるので期待していて下さい。

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